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ソロモンの指輪

動物行動学者のローレンツ博士[6]によると、 オオカミは、喧嘩に負けると、相手に自分の首を見せて、降伏します。 すると、喧嘩に勝ったほうのオオカミは、本能によって、 降伏した相手の首に噛みつかずに、相手を逃がします。 ローレンツ博士は、次のように書いています。
オオカミがかみつけないということを、 私は感動的ですばらしいことだと思う。 だが相手がそれに信頼しきっているということは、 それにもましてすばらしいことではないだろうか。 一匹の動物が、自分の命を相手の騎士道的な作法に託すのだ! ここにはわれわれ人間の学ぶべきことがある。 少なくとも私は、 それまでどうしても反抗の念を禁じえなかった聖書のあの美しい、 そしてしばしば誤解されていることば -- 「人もし汝の右の頬をうたば、左をもむけよ」というあのことばに、 新しい、より深い意味を汲みとった。 オオカミが私に教えてくれたのだ。 敵に反対の頬をさしだすのは、もっと打たせるためではない。 打たせないためにこそ、そうするのだ!

オオカミは、強力な牙を持っているので、種族の絶滅を避けるために、 賢明な本能を持っています。 しかし、人間は、格闘技の達人を除いて、 素手の一撃で他人を殺す能力を持っていないので、 オオカミのような賢明な本能を持っていません。 人間は、不幸なことに、他人を殺さない本能を持たずに、 他人を殺す道具を持ってしまったので、何万年かかるか解りませんが、 オオカミのように進化する必要があります。



naota 平成20年2月12日