オオカミがかみつけないということを、 私は感動的ですばらしいことだと思う。 だが相手がそれに信頼しきっているということは、 それにもましてすばらしいことではないだろうか。 一匹の動物が、自分の命を相手の騎士道的な作法に託すのだ! ここにはわれわれ人間の学ぶべきことがある。 少なくとも私は、 それまでどうしても反抗の念を禁じえなかった聖書のあの美しい、 そしてしばしば誤解されていることば -- 「人もし汝の右の頬をうたば、左をもむけよ」というあのことばに、 新しい、より深い意味を汲みとった。 オオカミが私に教えてくれたのだ。 敵に反対の頬をさしだすのは、もっと打たせるためではない。 打たせないためにこそ、そうするのだ!
オオカミは、強力な牙を持っているので、種族の絶滅を避けるために、 賢明な本能を持っています。 しかし、人間は、格闘技の達人を除いて、 素手の一撃で他人を殺す能力を持っていないので、 オオカミのような賢明な本能を持っていません。 人間は、不幸なことに、他人を殺さない本能を持たずに、 他人を殺す道具を持ってしまったので、何万年かかるか解りませんが、 オオカミのように進化する必要があります。